2010年6月アーカイブ

寄付についてのマーケティングが世の中にだんだん抵抗なく受け入れられるようになってきて、多くのNPOで「ファンドレイジングをしたい」という声を聞きます。
(そして実際に、プロボノとして、仕事として、自分はそれをお手伝いする立場にあります)


具体的な施策を立てる段階で課題になってくるのが、「ファンドレイジングのターゲットをどう設定するべきか?」という問いです。


・既に関係のある人にアプローチするのが費用対効果が良いので、既存の寄付者をターゲットとする

・今の支援者は比較的年齢層が高いので、将来に向けて若者をターゲットにする

・日本の市場規模が限られているので、英語による寄付集めに力をいれる


などなど、いろいろな考え方があると思います。


上記のような決め方が悪いわけではないのですが、僕が最近「こういう考え方もあるな」と思ったのは、「受益者との心理的な近さ」です。


・青森県のNPOを応援したい東京のボランティアスタッフが、東京の青森県民をターゲットにする

・若い教員や教員志望者を支援するNPOが、退職した元教員をターゲットにする


といった方向性です。
classroom.jpg[Some rights reserved by f_a_r_e_w_e_l_l]


これは、比較的ターゲットの規模が小さくなってしまうというデメリットはあるものの、「自分は青森県民だ」とか「自分は教員として勤めあげた」といったアイデンティティの強さによっては、ひとりあたりが寄付してくださる額は相対的に大きくなるのではないかと思います。

(こうしたターゲティングの方が「寄付した側が幸せになる確率も高いのではないか」とか、「ソーシャルメディアの時代のファンドレイズはこっちの方向ではないか」などいろいろ考えているのですが、仮説として精度がまだ足りないと思っています)


このようなアイデンティティをテコにしたマーケティングというのは、一般企業に転用ができる考え方だろうと思います。


と、あくまで経験則ではありますが、つくづく人が持つアイデンティティというのも、共感を得る上で非常に貴重なマーケティング資産だなと思うわけです。


今年は、非営利組織のマーケティングについて、こうした断片的なアイデアを少しずつevernoteにためて、修士論文にまとめ上げたいと思っております。

非営利組織の現場でマーケティングを推し進めたい人に少しでも役に立つものにしたいと思います・・・!

デジタルハリウッド大学院の自主ゼミ「デジハリ田舎実験室」のブログにも書いたのですが、こちらにも掲載しておきます。


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地域活性化の重要なアクターである地方の中堅~中小企業にとって、さまざまなメディアを駆使してのお客さんづくり=マーケティングを少ない予算の中で実施していける人材の獲得は容易ではないという現状があります。

そのような現状を少しずつ変えていくために、デジハリ田舎実験室では、地方の中堅~中小企業が売り上げを拡大するためのメディアコミュニケーション/マーケティング講座のカリキュラムを開発したいと思っています。
ramen.jpg[Creative commons. Some rights reserved by securecat.]

具体的な出前講座カリキュラムの案としては、以下のようなイメージです。
受けたいメニューを選んでもらうとか、お客さんのタイプ別に組み合わせるとか、ができると良いなと思っています。


【自社メディア】
 ・安価で信頼される自社ウェブサイトの作り方
 ・売れるメルマガの書き方
 ・捨てられにくいチラシや名刺、DMの作り方
 ・電話が効率化するトークスクリプトの作り方
 ・ニーズを知るためのリアルな場の作り方

【他社メディア】
 ・メディアに「引き」のあるプレスリリースの書き方
 ・お金をムダにしない広告の出稿方法
 ・ニッチなニーズを拾うインターネット広告の使い方

【ソーシャルメディア】
 ・注力すべきソーシャルメディアの選定方法
 ・リスクを下げる運用ガイドライン

【マーケティング・マネジメント】
 ・お客さんづくりの仕組みの全体設計
 ・安価で実用的なデータベースの作り方
 ・成果を出すための効果測定の仕方

現在、それぞれのカリキュラムを担当してもらえそうな、専門性や熱意のある方に声をかけているところです。
(色よい返事が多く、大変ありがたいです!)

価格帯や受講形態なども未定ですが、集まったメンバーと一緒に考えていきたいと思っています。

実際に地方の企業でマーケティングの仕事をしている方の参加も歓迎です(skypeやMLで参加できると思います)!!


低コストでの、地域性や社会性、共感をテコとしたマーケティングは、今後は企業だけでなく、NPO、自治体、美術館、公民館などにも求められるノウハウになっていくと思います。
(逆に、ファンドレイズの文脈で盛んになってきているNPOのマーケティングノウハウは、今後地域のためのマーケティングに応用されていくことが多くなるでしょう)

マーケティングを生業とする自分にとって、それが必要とされている分野に、このノウハウを届けることができれば、と思っております。

ではでは、今日はこのへんで。

「世界でもっとも優秀な人材」とは

「クラウド」という言葉を事業によって形にした、「セールスフォース・ドットコム」というアメリカの偉大な会社があります。

先日、その創業者であるマーク・ベニオフさんが書いた本を読みました。


いちばん、目を引いた言葉は、以下の言葉でした。

『変化を起こす強い意欲を持った人、
 自分の仕事の重要性に自信を持つ人、
 自分自身より大きな何かに身を捧げている人

―こういったひとたちこそが、世界でもっとも優秀な人材である。』


自分が学生時代から、NPO/NGOの世界にいるのは、
「自分自身より大きな何かに身を捧げている人」に魅了されてきたからだと思います。


(逆に、どんなに優秀だと思っても、自分のためだけに生きている人には、僕は興味がありません)

今日から、世界エイズ孤児デーの企画として、
「1 tweet, 1 smile」というキャンペーンがはじまります。


http://www.plas-aids.org/waod10/6000/index.html

自分自身より大きな何かに身を捧げている人も、
その「何か」と出会う前は、ごく普通の人であったと思います。


今回のキャンペーンが、ひとりでも多くの人にとって、その「何か」と出会う機会になればと思います。

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渡邉文隆
(わたなべ・ふみたか)

アミタグループで、マーケティングの仕事をしています(本ブログは個人として運営しています)。

環境・CSR担当者の方やNPO・公共団体の方に対して、ソーシャルマーケティングの視点とデジタル技術を活用したご支援を行っています。

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