昨日、IBMのラボで、ウェブ・アクセシビリティ(ウェブサイトが、どの程度広汎な人にとって利用可能か、ということ。特に、高齢者や障害者などにとって、どの程度利用しやすいか、という意味で使われることが多い)についての講演を聞く機会がありました。
スピーチをしたのは、目が不自由なIBMフェローの方で、IBMに入って約25年とのこと。
紹介されたツールやプロジェクト、スピーチの内容は、だいたい以下のとおりです。
特に「ソーシャル・アクセシビリティ・プロジェクト」については、プレゼンテーションの最中に思わず「すごい!」と声をあげてしまいました。
(写真はイメージです)
ホームページ・リーダー
視覚障害者がウェブサイトを自動音声読み上げによって認識できるブラウザ。IBMがつくったんですね。
ホームページ・リーダーについて
aDesigner
なかなか視覚障害者によるウェブサイトの見え方を実感しにくいウェブサイト制作者のために、音声ブラウザーによるアクセスのしづらさや、ロービジョンユーザの実際の見え方をシミュレートして表示するツール。
aDesignerについて
aiBrowser
動画などが自動再生されるコンテンツは、ページの読み上げ音声と、動画の音楽・声が混ざってしまい、視覚障害者にとっては実質的に活用できないことが多い(なるほど、と思いました)。
このブラウザによって、動画等の音量と読み上げ音声を別々にコントロールすること、ユーザが注釈を追加して作ること、などが実現できる。
aiBrowserについて
ソーシャル・アクセシビリティ・プロジェクト
ユーザーが使いにくいウェブサイトの改善できる点をウェブサイト運営側にメールしても、「検討します」という返信が来て終わることがほとんど。(最近は悲しいことに、こうしたリクエストをするユーザー自体が減っているそうです)
このようなリクエストをソーシャル・アクセシビリティ・プロジェクトのボランティアに報告すると、元のウェブページに変更を加えることなく、注釈を加えたり、読み上げの順序を変えたり、といったことをしてくれる(メタデータを作成して、サイトにつけている)。
作業した結果はほかのすべてのユーザーが活用できる(!)。もちろん、サイト運営者自身も活用できるので、ユーザーによるアクセシビリティ向上が非常に容易になる。
ソーシャル・アクセシビリティ・プロジェクトについて
アクセシビリティへの取り組みから生まれたイノベーションは、実は多くある。
たとえば、音声認識技術やキーボード、電話など。また、難聴者のためのシステムができれば、周囲の音がうるさい環境でも使えるシステムとして健常者も活用できるといったこともいえる。
思ったこと:障害はイノベーションの原泉
・スピーカーはご自身の目が不自由であることをことさら強調はしなかったのですが、僕はこのスピーチに感動しました。ビジネスの推進者が「当事者であること」は、そのビジネスが人を感動させる確率を上げるのかもしれません。
・また、アクセシビリティはマイノリティのためであると同時に、より広範な影響を及ぼすイノベーションのためだと思いました。視覚障害者や高齢化社会におけるビジネスの競争力を考えると、もっと優先度を上げなければいけないと感じました。
・障害のことを英語でchallenged と表現することがありますが、当事者が日々向きあっている多くのchallengeは、僕たちが思っているよりもずっと多くの人にとって、挑戦し、克服する価値があるものだと思います。







